5月7日(水)ハレくもり

椅子に深く腰掛けてリラックス...などしていては届かない響きもある。体験がある。そんな夜をすごした。...すごしたのかなあ?キースジャレットも人間なはずなのに、どうして数千万の蛙のうねるようなあの合唱を知っているだろう、暗い地表に点々と小さく灯った窓の一つにヘッドフォンをした見覚えのある小さなおじさんを見つけてしまい涙が出て来た。”ハチ公前”で待ち合わせをしたあんちゃんといつものオーチャードホール入り口の黒い縁石に座り、まばらに咲いたツツジを前に空けた500mlのプレミアムモルツ、これが膀胱を圧迫し始めた開演5分前、いつもならトイレに行くところをまてよと、身体をそのままそこにじっと静かに座らせておくことを選ぶ。満場の拍手が鳴り響いている、閉じていた瞼に”開け”の信号を送るとステージ中央に小さいおっさんが立っていつものように腕をだら〜んと前にお辞儀をしているのが見えた。絵はそこで終わっている。暗闇から立ち上がってきた音粒達が次第に壮大な、いや、なんか嫌〜な音ばかりを出すなあ、あ、また出た嫌な音、嫌だなあ〜ほんと嫌だ嫌だ、と、頭では感じながらも表面、皮膚が笑ってしまっている!君が聴きたい音を聴かせるわけにはいかない、ひたすらに耳を傾けていこうよ、、、完全に向こうに選ばれているのに実は同時に自分も選ぶしかないという。「20分間の休憩」アナウンスの時点で圧巻、満足が溢れてしまい、ああもうこのまま帰ってもいいのだと確信した。したけど「チケット高かったよな...アンコールもあるはずだ...最後まできっちり堪能していこう」などとせこく考えているとしょんべんしたかった事を思い出し、じゃあと席から立ち上がり静かにカーペットを踏んでトイレに向う浮遊感ふわふわ膀胱おじん。すでに紳士淑女の行列が出来上がっていたな。しかし男トイレの進み方は早い、ホール両サイドの通路から続々とトイレに集まってきては大の大人のおっさん達が順番にズボンの窓からポコチン出しスタイルでズラリ壁に向かって並ぶという壮観、光景が異様なおもしろさとして迫ってくる、もうだめだおもしろすぎる!と思いながらもおれの番となり、ステージへと向うけど我慢を通り越した膀胱硬直でなかなかしょんべん出てこない。ちょろちょろの呼び水がやっと出て来たかとおもってからは止めどなく、はてしなく、どこまで続くのかわからない永遠とも感じられるイエローサウンドを聴いていた。安堵した海面を焼き玉エンジンがのんびり走ってゆくなあ。。。膀胱問題から解放された身体で挑んだ後半、前半が緊迫緊張だとしたら後半は緩和リラックス、どんどん力が抜けて行くのがわかった。立ち上がっての拍手、アンコールが4曲。あっと言う間の永遠。死んでる人達もダンスして、天使もたくさん飛んでいる。なんのことはない、なんでもない日常こそが奇跡の連続なだけだった。

曲終わりの余韻が闇に帰って行ってしまうのが怖いのか、ほんの数秒間が待てない拍手早いよおじん(おばん)に「まったくもう」を思う。思うけどそれを口にしたら負けなので黙って、キースが席から立ち上がるのを待つ。左隣で座るあんちゃんもそのことには一切ふれず。沈黙を守るのを苦痛と感じてしまうというのにはビジュアルが大きく作用しているのでないかという考察。目に入ってくる情報をコトバに、行動に変換、表出したいのが人間(つーかおれ)だろうと。だからたった今遭遇している音楽の体験は最初からどーでもよくて「あ、終わった!(苦痛から解放された...)」で拍手しちゃうのでないかと。そのうち「演奏中はアイマスクの着用をお願いします〜」なんてアナウンスが流れたりして。そこに立って居るキースジャレット本人でさえ幻影?なんだから、そんなものを信用しないで、目(耳も??)を閉じて、ただそこに居られる幸福(運命)を受け入れなくてはいけない。そこで彼のコトバをもう一度おもいだしてみよう「...それであなたは、楽をしていて何かを得られたことってあった?」

4連休最終日の朝は4時くらいからツネさんに貰い受けて設置したばかりのキャビネットと本棚の整理をしていた。3匹は起きてきてそれぞれ遊んでいる。8時を回ってもあきこが起きてこないので見に行くと目を閉じたまま「布団から起き上がるとご飯が出来ていたらいいのになあ...」を言われたな。米なのかと訊くと目を閉じたまま半笑いで頷いたので仕方ない。三合を鍋で炊いてカブのみそ汁を作った。キヨにかあちゃんを呼びに行かせ、おれは仏さんにごはんを上げにいき、ち〜ん。その後は洗濯物が乾かないからシャボンの乾燥機いってこいと、ついでにカスミでペットボトルと空き缶すててこいを言われる。巨大な乾燥機を回してからカスミへ。空き缶は潰して入れて下さいの図を見て真面目に一個づつ潰す「しかし分量、ビール飲んでるなあ...」右手が軽く酒臭くなりながらシャボンへ戻って手を洗って乾燥機に向かうと残り1分の表示。乾き具合を確認し洗濯物たたむ。着ている服が物語るその人間の歴史みたいなことを思う。家族とは洗濯物が滞積した地層の断面構造なのだよなあなんて、黙々とたたむ。あんちゃんと5時の待ち合わせで家を出たのが3じ半を少し回ったところで前後子供椅子付きシティサイクルにてせんげん台駅を目指す。子供椅子に膝がぶつかるので屈辱のガニ股漕ぎでロードの7〜8倍の労力を使いぜえぜえと辿り着く。試練は始まっている...。携帯で時間を確認しようとするとあれ?電源入ってないやで午前中に2度ほど確認しているはずの携帯画面の電池残量が”赤”となった映像がよぎる。去年のトリオの時も携帯忘れて行ったよなあ。無意識が知っていてわざとやってるとしか思えない。しかしハチ公口と書かれた階段を登り切り、人人人〜で爆発寸前の渋谷にて遠くのガードレールに腰掛けているあんちゃんを一発で発見する。
b0119183_452316.jpg

[PR]
by yuzzle | 2014-05-07 16:49 | 日記


<< 5月8日(木) 5月2日(金)ハレ >>